« 2018年10月 | トップページ

2018年11月21日 (水)

OMM JAPAN 2018 DAY2

夜間は冷え込まず風もなく穏やかだった。熟睡はできないものの疲労感はかなり取れた。撤収もお互い手慣れてきて手早く完了する。スタートは時間枠内の後ろのほうで出たかったが、早めにスタートエリアに到着したらそのまま早く枠に入るよう促され、6:15にスタートした。

宮西/半沢チームは先に出ている。片山/千保チームは姿を確認できず。枠は6:24までなので最大で9分後からスタートしたはず。

Day2


S-1
しばらくは林道登りでじっくりプランニングする余裕がある。市岡さんの足取りも回復している。CP1へは谷筋で近づきたい。谷までは西側車道から尾根越えも考えたが、昨日から山腹は藪がちという印象があったので、南側の谷筋から鞍部越えのルートにした。谷の上部はヤブだったが、以降はスムーズだった。CP手前からひどくヤブになったが、これはどのルートでも避けられそうもない。

柳下/市岡 0:54:54
片山/千保 0:58:03
杉山/丹羽 1:05:05

1-2
まず尾根状のヤブがひどい。水系沿いはヤブがないので活用してCPに近づく。CP2は別の水系の源頭ということを読み取りイメージ通りの場所に発見。連続区間トップで順調にリードを広げた。この時点でかなり楽になったと感じた(実際そう甘くはなかったが)

柳下/市岡 0:14:45
宮西/半沢 0:16:36
片山/千保 0:17:20

2-3
川沿いに進めば右側に道が見えるか橋にぶつかるだろうと考えていて方向確認を怠り、T字分岐のずっと先まで川沿いを引っ張ってしまった。これは私の勘違いによるミス。運よく道のカーブですぐに現在地を特定できた。距離のロスはなかったが、谷沿いを進んだため5分程度のロスか。それでも若干のリードは保っていた。

宮西/半沢 0:46:50
片山/千保 0:49:22
杉山/丹羽 0:51:19
---
柳下/市岡 0:53:17

3-4
地形がわかりやすく上位チームはあまり差はつかなかった。しかし地形を辿る技術が不足していると苦労するようで全体的にはタイムのばらつきがあった。

柳下/市岡 0:15:30
宮西/半沢 0:15:31
杉山/丹羽 0:16:13

4-5
南側の道のある谷を登り北上かCPの真東の谷をつめるかの2択。悩んだ末に前者を選んだが倒木が多くペースが上がらず、最後は少し東にずれ1分程度のロス。同ルートの宮西/半沢チームが抜けていて、あとは僅差。

宮西/半沢 0:23:29
片山/千保 0:26:25
福島/鈴木 0:26:51
---
柳下/市岡 0:27:12

5-6
山腹より地形に沿ったほうが動きやすいので谷を下り尾根を登る。ここから気合の牽引を開始し宮西/半沢チームを引き離す。片山/千保チームとの差を再び8分に広げる。

柳下/市岡 0:26:19
宮西/半沢 0:29:39
片山/千保 0:32:13

6-7
早めに尾根に出るプランで西側を選んだが、この谷が荒れており牽引ルートを選ぶのに苦労した。6分強一気に詰められる。

片山/千保 0:50:41
杉山/丹羽 0:53:42
今宮/加藤 0:54:14
---
柳下/市岡 0:57:01

7-8
8につくなり市岡さんがシューズの紐が緩んだということ。この日2回目だったので、きっちり絞めてくださいとついきつい口調になってしまう。

尾根を登りきる手前で、ふと鈴の音が聞こえた。前か後かわからなかった。少し鈴の音がはっきりしてきた。振り返ると片山/千保チームの姿が見えた。
「き、きたぁー!!」
そんな衝撃だった。彼らは何分後に出たのだろう?9分後だったら4分半しかリードがない。今のペース差からしたら、、
彼らに少し遅れをとり、頭が真っ白になりながらなんとかCP8に到着した。

ここは我々の失速もあるが、彼らの追い上げが強烈だったことがタイムに表れている。

片山/千保 0:27:17
柳下/市岡 0:33:42
福島/鈴木 0:34:09

8-9
彼らは軽い足取りで前を行く。しかし柵を巻くには彼らは登り過ぎているように見えた。「ここだ!」出し抜く形で柵の隙間から尾根下りに入る。最初は踏み跡がわからなかったが、途中から明確な踏み跡に乗れて一気にCPに到達!

結果的にここで8分差をつけてまた追いつかれているので、仮にミスなく先行されていたらかなりきわどかっただろう。

柳下/市岡 0:13:35
丹羽/上野 0:13:52
杉山/丹羽 0:16:01

9-10
沢下りルートは2回目なのでさすがにミスはしない。しかしペースは上位の2割増しに落ちている。

内田/吉村 0:21:08
宮西/半沢 0:21:52
片山/千保 0:22:35
---
柳下/市岡 0:25:43

10-11-12
終盤はつなぎのナビゲーションになり、登り基調の体力勝負となる。再び片山/千保チームが迫ってくるが、フィニッシュは近く、もう総合で逆転はされないだろう。それでも「出し切りましょう!」と市岡さんに声をかける。

片山/千保 0:31:16
内田/吉村 0:31:55
宮西/半沢 0:34:44
---
柳下/市岡 0:36:01

13-G
下りも市岡さんはもう脚が残っていない。が、片山/千保チームもフィニッシュ手前で記念撮影をしている。我々ももういいだろう。共にゲレンデをゆったり滑空するように下った。とても心地がよかった。

---
2日目は2位となったが、トータルで9分半差で優勝することができた。2日間とも序盤にリードを取れたことが勝因。特に初日の3までで25分リードが非常に大きかった。今回はギリギリの苦しいレースだった。5年もやっていると調子がいい時も悪い時もある。それでもこのチームで5連覇できたことは意味がある。改めて市岡さんにはありがとうと伝えたい。

そして連覇という意識はここで一旦お終いにしたい。結果が先ではなく、まずはこのレースを通じて自身のパフォーマンスを余すところなく表現したい気持ちが強い。まだ白紙だが、それを念頭にチームづくりを考えたい。
---

今回、ストレートに関してはBと中心に完走率が大きく低下し、ナビゲーションの難易度が増したという声が多かった。しかし上位陣は「ようやく自分たちの技量にコースが追いついてきてくれた」という感想だろう。作り手側も難しくしたのではなく、手加減をやめただけだろう。実際に各クラスの上位チームのルートみると大きなミスはほぼない。まだまだナビゲーションレベルにバラつきがあるということだろう。しかしレースを終えてからナビゲーションを上達させたいという熱を感じる。これを機にこのナビゲーション熱がさらに高まってくれたらうれしい。

[レベルアップのヒント]
全てを言い尽くすことはできないので、例としてDay2の1-2について触れたい。CP2が見つからず、谷にあるということで枝分かれした谷の中をくまなく探したチームも少なくないと思う。CP2のある谷の特徴をみていただきたい。水系が記載されているが、全く枝分かれなどしていないのである。つまり、枝分かれした谷をやみくもに探したところでCPは絶対に出てこない。CPはこの一筋の水系の源頭にある。そして、この水系表示は地形図にはない。コースディレクターが書き加えているのである。そう、コースを難解にしているのではなく、地図を読めばちゃんとたどり着けるようにしているのだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月19日 (月)

OMM JAPAN 2018 DAY1

1日目の展開とルートの考察を書きました。宮西/半沢チームのルートも参考になります。

Day11


S-1
スタートは眺めが良い山頂で舞い上がってしまいそうだが落ち着いて。いきなり尾根が不明瞭な下りで本来注意が必要だが、行列になっていた。CP1も少々捻った枝尾根だがわかりやすい状況だった。幸先よく区間トップ。

1-2 
スタートで地図を受け取った時に前半のメインレッグだと感じた。レッグ中盤のS字カーブのある林道は通るものとして、そこまでのプランをすると高原道路に戻るのがベストと判断する。これは正解でそのS字カーブ付近で早くも16分前スタートだった片山/千保チームに追いつく。尾根越えからの林道下りは並走し、小山/国沢チームも吸収。次の尾根越えで片山/千保チームや脱落し、差を拡げたが...

区間2,3位の宮西/半沢、福島/鈴木チームはさらに高原道路を引っ張り、西側ロードから回り込んだ模様。東側の林道はアップダウン多く重たいルート。

柳下/市岡 1:11:30
宮西/半沢 1:15:52
福島/鈴木 1:16:37

2-3
道がより多く活用できるCP3の東側からの尾根越えで考えていたが、CP2すぐ北西の鞍部越えの谷の植生が良かったので、急遽登りが少ない南回りを選択。これは当たりでさらに差を広げた。ざっと見てCP3でコース1/3。2時間かかっていないので6時間そこそこでフィニッシュできるのではと思う。

柳下/市岡 31:40
片山/千保 36:10
山本/飴本 37:02

3-4
1-2の林道走行中にプランニングをしていたが、特別楽なルートはなさそう。5-6で通る尾根の往復がメリットが多いと考えた。途中からペースダウンが始まってしまったが、僅差なのでルート自体は正解だったと思われる。登り始めで宮西/半沢チームとすれ違い、15-20分ほどのリードが確認できたが、いつまで貯金がもつか..という.気持ちで安心感は全くなかった。

片山/千保 1:07:16
宮西/半沢 1:08:13
柳下/市岡 1:08:44

4-5
短い登りなのでとりあえず押すことにした。しかし押しながら登るときに整置がおろそかになり、ずれて尾根上にでる。すぐにリロケートできたが4-5分のロス。マーシャルポイントで久保田さんに「速いね~」と言われるが、テンパっていて余裕なし。

小山/国沢 0:16:54
宮西/半沢 0:17:07
藤下/板谷 0:17:10
---
柳下/市岡 0:21:52

5-6
尾根上でついに牽引を開始する。地図も読めるしとりあえずうまく引っ張ることはできた。しかし林道に出る直前で市岡さんが倒木でつまづき、脚がつって倒れ込んだ際に強い負荷がかかり、取り付け部分の金具が壊れる。以降、道路や単調な登りなどではひたすら押す。なんとか5分弱の差で抑えられたので、ルートそのものは悪くなかったはず。

片山/千保 1:13:00
杉田/武井 1:15:26
北野/中辻 1:16:18
---
柳下/市岡 1:17:47

Day12


6-7
一旦高原道路に戻るルートを選択。尾根の乗り換えに注意が必要で、尾根も地図で見るより緩急がある。ナビのロスはなく区間トップをとれた。

柳下/市岡 0:16:52
田中/田中 0:17:17
小山/国沢 0:17:27

7-8
南北かなり考えたがアタックは登りのほうがわかりやすそうだったため、集落まで下る南ルートにした。山本/飴本チームは高原道路に戻ったとのことで57分なので、ルート的には大きな差はない模様。

8への林道でふと振り返ると序盤でパスした片山・千保チームが背後に。序盤は巡航でもリードしていたが、明らかにペースが違う。あっという間に交わされる。この勢いだとフィニッシュで相当貯金が減る。目の前のチームだけでなく他の上位チームも同様だ。
「ここ勝負どころですよ!ついていって下さい!!」
無茶言ってる気がしたが、ここはもう無茶をしないといけない局面。高低差130m急斜面、市岡さんを前に置き渾身の力で押し上げる。そして8までは大きく離されずに食らいつけた。

片山/千保 0:49:32
宮西/半沢 0:54:29
柳下/市岡 0:55:37

8-9-10-F
以降はナビは易しく体力勝負。激励や押しを繰り返し、2分半離されたものの13分半の貯金を残して1日目を終了した。

宮西/半沢チームとの差も気になったが21分差。すれ違って以降もほぼ差は変わらずだったので、巡航ではあまり差がないか。4位以下は大差。市岡さんはきっと今日ぐらいは動ける。序盤を互角に乗り切れれば、後半追い上げられても逃げ切れるはず。よりテクニカルであることが予想されるが、ナビゲーションのロスは最小限に留めたい。自分がそれをできればきっと勝てる。

CP位置は尾根上のピークなどが多く、全般的にわかりやすかった。一方でルート選択肢は多彩だった。かなり大きくルートが分かれてもルートでのタイム差は小さく、よく練られている。CP位置はやさしくてもやはり地形を辿るナビゲーションの技量は必要で、そこで明確に差がついているように感じた。また地形も急峻なためロスが大きくなる傾向もあったと思う。

(つづく)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018年11月17日 (土)

OMM JAPAN 2018 準備編

2014年の第一回目からストレートの最長クラスで4連覇しており、次は区切りの5連覇いうのが大きな目標になった。

過去の実績をざっとふりかえると、、

2014年 初日は2秒差。2日目は積極的なルート選択で大差で優勝
2015年 2日間とも大差で圧勝
2016年 市岡さん直前に胃腸炎。それでも完勝。
2017年 調子は問題なかったものの、初日は2位。2日目になんとか逆転。

昨年の辛勝から、今年はこのまま同じようにやっていたら伸び盛りのチームには敵わないと感じていた。

チーム分析すると、ロードの走力はほぼ同じだが、不整地や地図読みは大きな差があり、底上げが必要な部分と感じたので、まずはOMOエリートに出場をお願いした。(これはマラソンの調整のため欠場)
次に、走力を確認しあう機会を設けたほうがよいだろうと、5月の朝霧12時間ロゲイニングにお誘いした。しかし8時間経過したところで市岡さんに膝の故障が発生し、敗戦(2位)だった。 これは我々のチームではロゲイニングやOMMを通じて10数戦目で初めて、私自身としても男子チーム戦では2010年代で初めての敗戦という、まさかな結果だった。

直後にOMMのエントリー開始だったが、今一度コミットが必要と感じ、勝つことが互いの目標ということを再確認しエントリーすることを決めた。

市岡さんの膝の故障は幸い重症ではなく、夏はそれぞれ幕営装備を背負ってアルプス縦走を行なった。

夏を経て、再び確認の機会ということで9月上旬に朝霧マウンテンOに出場。優勝はできたが、市岡さんは夏に痛めた足を悪化させてしまう。足底筋膜炎の診断。

その後、市岡さんは上州武尊は完走されたものの(さすがだなと、大丈夫なの?と両方思った)、10月半ばが過ぎて状況を聞くと、痛みが消えず毎日治療していること、トレーニングもゼロとのこと。

念頭にあった不整地の底上げどころではないし、正直、欠場したほうがいいのではないかとか、いろいろ考えた。しかしながら、治療を成果か1週前に急激に痛みが薄れてきたと聞き、ならば今の状況でベストを尽くそうと私も心に決めた。

現状のチームの力を分析すると、最良で考えても、
それぞれの巡行速度... 柳100/市(ロード110/不整地130/平均120)
共通装備を自分が持つことで... 105/115
さらに押したり、牽引することで... 110
上位が予想されるのは宮西/半沢、片山/千保、飴本/山本あたりだろう。巡航ではアドバンテージはない。高難易度が予想されるなかで最小限のミスで抑え、足が持ってくれれば、勝つチャンスはあるかもしれない...とにかくそう考えることにした。

1e7f1f8686fe41f791fe7f7ea109ab01

前日はゲン担ぎに駒ケ根でソースカツ丼を食べて会場入りする

Img_0070

左2つはマッパチーム、右は我々。自分は昨年に比べ寝袋をナンガ UDDBAG180DXからイスカ Air130Xに変更とベースレイヤーを薄くした。合わせて200ℊ軽量化。テント、クッカー(合わせて1.3kgほど)は私が持ち、それぞれ水、食料込みで5kg、3.5kgほどになった。また、牽引用に紐を作成した(重量は25g増加になる)。

宿ではマッパチームとの作戦会議を行った。事前にも地図範囲やコースの想定を実施していたが、公開された地図は東西はほぼ想定通りだったが、やや北側が広かった。ちなみに事前に範囲を考える上では標高550mや発電所の地図記号がヒントになった。コースは高原道路を挟んで2日間で範囲が変わると予想した。キャンプ地、スタート、フィニッシュの流れなどは完全に予想通りだった。
(つづく)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年10月 | トップページ